エフさんの名作「金融義賊」
義田に感情移入しながら、富の再分配は成功するのかどうか?夢中になってあっという間に読み進めてしまいました。すごい作品です
物語を通して、「人の幸せ」についてとても考えさせられました
金融義賊を読んでの、感想や学びをまとめます
※あらすじの後から内容(ネタバレ)を含みます
あらすじ
主人公の義田は、帝日証券寺川支店に勤める証券マン
日頃は寺川市に住む「上級国民」を相手に仕事をしており、営業成績ぶっちぎりの優秀な人物である。しかし、腹の底ではこの世の格差社会を憎み、下層弱者への「富の再分配」を目論む
富裕層に大きな一撃を与えるために、壮大な計画を胸に秘めながら、まずは約10年間信頼の獲得に努める
「時は満ちた、くたばれ上級国民」
- 先祖のお金で働かずに生きている人
- 先祖の功績で成功を気取っているもの
- 親の教育知識と経済力による教育格差
人は白黒つけたい生き物である。
義田の考えは主に「お金」で恵まれているかどうかを判断していました。
駄菓子屋のおばちゃん、コンビニの老夫婦しかり、恵まれないながらも一生懸命生きている人として見ている。
義田の気持ちもよく分かります。
もし「恵まれているかどうか」の判断基準に色んなものがあると大変だし、分類が難しくなるからです
だから義田は「お金」という判断基準のみで分類していました。(多くの人がやりがちで、学びになる)
賛成と反対、勝ち組と負け組、派閥など分けてしまえば、考えないのでストレスがないんです。(同じ派閥でも考えが違うなど、わかりにくいのもありますが)
だから人は、白か黒なるべく決めます
どちらも属していないものはわかりにくいので、嫌うのが人間らしいと思いました
人の幸せを考える
前述の通り、義田はお金があれば恵まれている、幸せだと考えています
しかし、作中には裕福であるが、自分の仕事のできなさと、誰からも必要とされてないことにコンプレックスを抱いている者がでてきます
お金に恵まれても、才能や人間関係に恵まれているとは言えません。幸せでもない様子です。
逆に主人公の義田は裕福ではないけど、独学で有名なK大学に入れるほどの頭脳を持っていました
老人=金を貯めこんでいる、というのは違うだろう、貧困老人だっているのだから。
by義田 金融義賊p77
義田は盲点ですが、つまり「お金がある=恵まれているにはならないだろう」に本来はなります。
お金があるが故に、不幸な場合もある
本書を読んで、僕は身近な女の子を思い出しました。
その子は親から大事に育てられ、高校受験をしなくていいように中学から私立へ入学しました。
学校では話しの合う子がいなくて不登校気味です。社会に出て働けば色んな年代と関わるので、もっとコミュニケーションが大変でしょう。
上記のように困難を避けられて、苦労を経験する機会を失うことは、成長ができずに不幸なことだと思いました
そのまま大人になって、初めて苦労に直面しなければなりません。
お金があることは大きなメリットですが、お金=幸せとは限らないことを勉強になりました
おわりに
義田の考えに一定の理解、同調しながら進んでいくなかで、ラストのがらっと変わる展開が面白かったです
分かりやすくするための白黒、人の幸せについて考えて学ぶことができました
またも素敵な作品をありがとうございます
エフさんのストーリーに引き込まれる文才がすごい!!